胡椒の歴史
それはそれは貴重なものでした。
それを手に入れるためには同量の黄金と交換が必要なほど。
何だか分かりますか?
それは、今では食卓に欠かせない調味料の1つ『胡椒』のことです。
その昔、胡椒を求めて大航海時代は欧米諸国がこぞって船を出しました。
時には胡椒をめぐっての戦争までも起こるくらいに。
なぜそこまでして?
それは胡椒は熱帯の地域でしか育たないという性質上、どうしても生産地が限定されてしまっているからなのです。
世界中が求めたスパイスをこの手に入れれば巨額の富を手に入れることは明白だったからなのです。
インド
ベトナム
タイ
マレーシアなどなど
現代の生産地は東南アジアに集中しています。
しかし、胡椒を語る上で忘れてはいけない生産地があります。
それはカンボジア
ほんの数十年前までは、世界最高峰の胡椒の産地として世界に名を轟かせていたカンボジア。
しかし、カンボジアでも悲しい歴史、それはポルポトによる独裁、虐殺により人や文化はもちろん、胡椒栽培のノウハウも壊滅的なダメージを受け、世界の市場からは『カンボジアペッパー』が消えてしまったのです。
でも途絶えてはいなかったのです。
わずかに残った胡椒の木を増やし、手探りで生産を続け、ようやく最近になって品質の良い胡椒の産地としてのブランドを取り戻しつつあるのです。
一大産地のカンボジアの中でも、特に気候風土が胡椒作りに最適と言われているのが『カンポット地方』
このカンポットで栽培された胡椒は手にとって香りを嗅ぐだけで日本のスーパーや100均で売っているものとは別物だということが分かります。
鼻をくすぐる香ばしさ。
ミルで削りたての胡椒を焼きたての目玉焼きにかけて食べると、全く次元の違う食べ物かと思うほどの刺激とうまさ。
どんな料理にも『塩 少々、こしょう 少々』とありますが、胡椒本来の味をダイレクトに味わうのなら調理した後にミルで削りたてをかけるのがオススメ。
焼きたてのステーキに『カンポットペッパー』をミルでガリガリっと。
牛肉から出る脂っぽさを消し、独特の臭みを無くし、旨味を凝縮する効果のあるホンモノの胡椒を是非経験していただきたい。
間違いなく、これまでかけていた胡椒との違いを感じることでしょう。